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ISSJブログ:インドの高速鉄道

今回の話題は、「インドの高速鉄道」についてです。インドの鉄道というと、列車の車内は日本の満員電車以上の混雑ぶり、中には網棚の上に寝そべっている乗客までも。そんな光景を写真や動画でご覧になった方もいらっしゃると思います。でもそれは在来線の話しであり、今回は高速鉄道にスポットをあてます。

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インドの第1号高速鉄道
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日本とインドは2015年12月12日のモディ印首相と安倍日首相との首脳会談で、インドの高速鉄道案件において日本の新幹線方式を採用することで合意しました。受注確実といわれたインドネシアの高速鉄道案件を土壇場で中国にさらわれた日本政府としても、一矢報いた格好です。
今回日本が受注したのは、13もの計画路線があるインド高速鉄道計画のうち、インド最大の都市ムンバイと工業都市アーメダバードを結ぶ、約500kmのルート。最高速度は時速320キロメートルで、所要時間は現在の約8時間から2時間程度へ大幅に短縮されます。鉄道網の近代化を政策に掲げるモディ首相にとって、アーメダバードはかつて彼本人が州知事を務めたグジャラート州の主要都市です。その意味でも今回の受注したルートは、高速鉄道時代の幕開けを飾るのにふさわしい路線といえるでしょう。
インド版新幹線の建設工事は2017年にスタートし、2023年に完成する予定です。海外における新幹線方式の採用事例としては、2007年開業の台湾に続く2例目。これを機会に、今後の他国への展開にも弾みがつくといいですね。

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最大のライバルは中国
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ただ、楽観視はできません。最大のライバルは中国です。日本がインドの実務担当者を招いて、検査や整備の様子を見せるという草の根活動を展開しているのを横目に、中国はインド国内に共同出資で「鉄道大学」を設立し、鉄道の製造や整備に関するノウハウをインドに提供すると営業活動に力を入れています。
今回のルート以外でいくつもある高速鉄道計画のうち、全長1,750kmのデリーとチェンナイ間やデリーとムンバイ間といった基幹路線のFS(フィージビリティスタディ)を実施しているのは、中国系のコンサルタントです。またムンバイとチェンナイ間などの主要路線は、フランス、スペインのコンサルタントがFSを担当しています。もし、インド国内で日本の新幹線方式が採用されるのが1つの路線にとどまるのであれば、勝利どころか敗北の烙印が押されてしまいます。次につなげるためにも、2023年の「一番列車」はなんとしても成功をおさめて欲しいものです。
なおインドメディアは「中国もインドの別の路線の受注を狙っている」
と報じたことに対し、インド国民からは「インド人は中国高速鉄道なんて必要としていない」、「日本とドイツの技術は良いが、中国は信じられない」などと、厳しい反対の意見が寄せられたと紹介しています。このインド国民の世論を追い風にして、ぜひ第2号・第3号と日本の受注が続いて欲しいものです。

(文責:菊池康夫)

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